僕の誕生日

1/1
前へ
/23ページ
次へ

僕の誕生日

さくらに頼まれたものを買って、マンションへ向かった! 3本もボトルを買ったらすごく重くなった! さくらはもう帰ってるかな? 急ぎ足でマンションまで着くと、いつも入り口にいる女の人がエレベーターのボタンを押してくれた! お礼を言って中に入ると、7階のボタンにキーを差し込む! このエレベーターは住んでる人の階にしか止まらない仕組みになってる・・・・・でも、さくらは鍵を持っていない・・・・・ 不思議だけど・・・・・さくらは鍵がなくても大丈夫なんだ。 ドアが開いて廊下を歩いて部屋の前まできた、お向かいはおばあさんが一人で住んでいる! とても綺麗で優しいおばあさんだ! 部屋の前で「開けて」そう言うとドアがスッと開いた。 このドアは僕の声を覚えてるんだ。 声認証システムって言ってた! さくらの声も覚えてる。 玄関に入るとさくらの靴があった! 「さくら、買って来たよ」 「さくら」 呼んだけどさくらは出てこない、僕はシャンプーとコンディショナーとボディーソープの袋を持ってリビングのドアを開けた・・・・・真っ暗な中にオレンジの灯りが小さく灯ってる。 怖い・・・・・すると、オレンジの灯りが一個ずつ増えていった。 ローソク? 「理桜、誕生日おめでとう」 「・・・・・」 「ほら、火を消して」 僕はローソクの火を見ながら、前に進んだ! テーブルにぶつかって、慌てて息を吹きかけた! 「フーッ」 パッと部屋の明かりがついた! テーブルには今消したローソクがケーキの上に立っていた! そしてご馳走も、花も、飲み物も、果物も・・・・・ 顔がぐちゃぐちゃになって、鼻の奥がツンと痛くなった! 鼻水と涙と(よだれ)が出て、僕は何も言えなくなった! 涙がポタポタ落ちて、手に持った袋もいつのまにか床に落として・・・・・鼻を(すす)ってたら声まで出てきて、子供みたいに泣き出してしまった。 「理桜!こっちおいで!」 僕がさくらのそばまで行くと、さくらは僕の涙と鼻水をティッシュで拭いてくれた! 「理桜!Happy Birthdayだろ、泣くな」 「うん、さくらは僕の誕生日知ってたの?」 「もちろん、恋人なら当然だろ」 「僕・・・・・始めて」 「喜んでくれて、良かった」 「でも、さくらこれどうしたの?」 「どうしたって?」 「だって、さくらはお金持ってないでしょ」 「バイトした」 「バイト?」 「そう、スマホ見てたら誕生日のパーティーとか色々出てきて、理桜の誕生日ももうすぐだし、俺もこんなのしたくなって、お金稼ぐためにバイトしたんだ!」 「バイトって、何したの?」 「雑誌でモデルの募集があって、それが一番お金もらえそうだったから、それやった!本見る?俺が載ってるよ」 「ほんと?見る」 さくらは本当に雑誌に載ってた、しかもめっちゃカッコいい! 黒いタキシードを着て、ウエディングドレスの女の人に花を渡してた! 結婚情報誌みたいな本だった! 「さくら!素敵だね」 「だろ!お金いっぱい貰ったんだ」 「そうなんだ」 「理桜!早く食べよう!ケーキも食べて」 「うん」 「それとこれ!プレゼント!」 「まだあるの?」 「そうさ、誕生日のプレゼントを渡さなきゃ」 「開けていい?」 ブルーのリボンがついた白い箱を開けた! 中には2つのマグカップ! 「さくら!ペアのカップ?」 「そう、俺も明日からコーヒー飲むことにしたから、理桜とお揃いのカップだぜ」 「さくら・・・・・ありがとう!僕すごく嬉しい!ほんとに・・・・・」 「また泣くの?」 「だって・・・・・」 僕は生まれて初めて、嬉しい誕生日を迎えることができた! さくらのおかげで僕の誕生日は最高の1日になった。 「さくらの誕生日はいつなの?」 「俺?誕生日は知らない」 「じゃあ、僕と同じ今日にしよう!4月20日」 「おぉ、いいねじゃそうするか!」 「うん、僕もさくらに誕生日のプレゼント贈りたい」 「じゃあ、来年楽しみにしてる」 「今年はいいの?」 「だって、今からじゃ間に合わないだろ」 「そうだね・・・・・」 「キスでもいいけど」 「キス?」 「プレゼントのキスくれよ」 「・・・・・うん、プレゼントする」 僕はさくらの顔を両手で挟んで、少し背伸びをしてキスをした。 さくらは目を閉じて僕のキスを受けた! 唇と唇が触れ合う、優しいキス! さくらの柔らかな唇が触れただけで、膝から力が抜けそうになった! さくらが僕の身体を両手で抱きしめて支えてくれた! 僕の初めてのキス! 「さくら!僕の初めてのキスをプレゼントするね」 「理桜!最高のプレゼントありがとう!」
/23ページ

最初のコメントを投稿しよう!

52人が本棚に入れています
本棚に追加