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僕の誕生日
さくらに頼まれたものを買って、マンションへ向かった!
3本もボトルを買ったらすごく重くなった!
さくらはもう帰ってるかな?
急ぎ足でマンションまで着くと、いつも入り口にいる女の人がエレベーターのボタンを押してくれた!
お礼を言って中に入ると、7階のボタンにキーを差し込む!
このエレベーターは住んでる人の階にしか止まらない仕組みになってる・・・・・でも、さくらは鍵を持っていない・・・・・
不思議だけど・・・・・さくらは鍵がなくても大丈夫なんだ。
ドアが開いて廊下を歩いて部屋の前まできた、お向かいはおばあさんが一人で住んでいる!
とても綺麗で優しいおばあさんだ!
部屋の前で「開けて」そう言うとドアがスッと開いた。
このドアは僕の声を覚えてるんだ。
声認証システムって言ってた!
さくらの声も覚えてる。
玄関に入るとさくらの靴があった!
「さくら、買って来たよ」
「さくら」
呼んだけどさくらは出てこない、僕はシャンプーとコンディショナーとボディーソープの袋を持ってリビングのドアを開けた・・・・・真っ暗な中にオレンジの灯りが小さく灯ってる。
怖い・・・・・すると、オレンジの灯りが一個ずつ増えていった。
ローソク?
「理桜、誕生日おめでとう」
「・・・・・」
「ほら、火を消して」
僕はローソクの火を見ながら、前に進んだ!
テーブルにぶつかって、慌てて息を吹きかけた!
「フーッ」
パッと部屋の明かりがついた!
テーブルには今消したローソクがケーキの上に立っていた!
そしてご馳走も、花も、飲み物も、果物も・・・・・
顔がぐちゃぐちゃになって、鼻の奥がツンと痛くなった!
鼻水と涙と涎が出て、僕は何も言えなくなった!
涙がポタポタ落ちて、手に持った袋もいつのまにか床に落として・・・・・鼻を啜ってたら声まで出てきて、子供みたいに泣き出してしまった。
「理桜!こっちおいで!」
僕がさくらのそばまで行くと、さくらは僕の涙と鼻水をティッシュで拭いてくれた!
「理桜!Happy Birthdayだろ、泣くな」
「うん、さくらは僕の誕生日知ってたの?」
「もちろん、恋人なら当然だろ」
「僕・・・・・始めて」
「喜んでくれて、良かった」
「でも、さくらこれどうしたの?」
「どうしたって?」
「だって、さくらはお金持ってないでしょ」
「バイトした」
「バイト?」
「そう、スマホ見てたら誕生日のパーティーとか色々出てきて、理桜の誕生日ももうすぐだし、俺もこんなのしたくなって、お金稼ぐためにバイトしたんだ!」
「バイトって、何したの?」
「雑誌でモデルの募集があって、それが一番お金もらえそうだったから、それやった!本見る?俺が載ってるよ」
「ほんと?見る」
さくらは本当に雑誌に載ってた、しかもめっちゃカッコいい!
黒いタキシードを着て、ウエディングドレスの女の人に花を渡してた!
結婚情報誌みたいな本だった!
「さくら!素敵だね」
「だろ!お金いっぱい貰ったんだ」
「そうなんだ」
「理桜!早く食べよう!ケーキも食べて」
「うん」
「それとこれ!プレゼント!」
「まだあるの?」
「そうさ、誕生日のプレゼントを渡さなきゃ」
「開けていい?」
ブルーのリボンがついた白い箱を開けた!
中には2つのマグカップ!
「さくら!ペアのカップ?」
「そう、俺も明日からコーヒー飲むことにしたから、理桜とお揃いのカップだぜ」
「さくら・・・・・ありがとう!僕すごく嬉しい!ほんとに・・・・・」
「また泣くの?」
「だって・・・・・」
僕は生まれて初めて、嬉しい誕生日を迎えることができた!
さくらのおかげで僕の誕生日は最高の1日になった。
「さくらの誕生日はいつなの?」
「俺?誕生日は知らない」
「じゃあ、僕と同じ今日にしよう!4月20日」
「おぉ、いいねじゃそうするか!」
「うん、僕もさくらに誕生日のプレゼント贈りたい」
「じゃあ、来年楽しみにしてる」
「今年はいいの?」
「だって、今からじゃ間に合わないだろ」
「そうだね・・・・・」
「キスでもいいけど」
「キス?」
「プレゼントのキスくれよ」
「・・・・・うん、プレゼントする」
僕はさくらの顔を両手で挟んで、少し背伸びをしてキスをした。
さくらは目を閉じて僕のキスを受けた!
唇と唇が触れ合う、優しいキス!
さくらの柔らかな唇が触れただけで、膝から力が抜けそうになった!
さくらが僕の身体を両手で抱きしめて支えてくれた!
僕の初めてのキス!
「さくら!僕の初めてのキスをプレゼントするね」
「理桜!最高のプレゼントありがとう!」
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