教団 マッチ売り少女

2/2
前へ
/2ページ
次へ
********  私は、マッチ売りの少女、という組織で、医者をしてる。  この組織は、闇ルートで臓器移植を行っている。  自殺者を募集し、ドナー登録にサインをしてもらい、この施設に入居してもらう。  自殺者には、この組織が開発した、ある特殊なマッチで自殺をしてもらう。  そのマッチというのは、脳内ホルモンを分泌させ、人に快楽の夢を見させるというものだ。童話、マッチ売りの少女で出てくる、マッチと瓜二つなのだ。  しかし脳内ホルモンには限度がある。一度に大量に分泌すると、脳内ホルモンの生産が追い付かなくなり、脳内ホルモンは完全に枯渇する。  脳内ホルモンが枯渇した脳は、エネルギー消費のストレスに耐え切れなくなり、生命を維持する脳幹だけを残し、機能を停止してしまう。いわゆる、脳死と呼ばれるものだ。  脳死に至ると、元々、検査していた情報を元に、移植適合者に移植を行う。もちろん闇ルートなので、莫大なお金を頂く。    しかし、私たち組織の職員は、自分たちがしていることは慈善事業だと考えている。  命を終わらさえたい者に安らぎを。命を繋ぎとめたい者には希望を。そういう理念で活動している。  本心でそういう想いで活動はしているが、やはり少しは心苦しいものである。  せめて自殺者に、移植者の喜んだ姿を見せてあげたいものだ。    これは、本当か嘘か分からないが、意識というのは脳だけでなく、全ての臓器も意識を持っている、っという説もある。だったら自殺者も、移植したあとに、移植者が喜んでいる姿を、移植した臓器を通して見えていたら、少しは報われるのではないか?っと、私は勝手にそう願っている。
/2ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加