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やばい…かも
旦那と三男を送り出し、
(長女ルミはまだ夢の中、
四男ナムはとっくに出かけていた。)
さて病院、
と思って診察券を確認すると、
前回行った産婦人科は生憎休診。
さて困った。
電話帳を引っ張り出し、
どこに行こうか思案する。
家から一番近いと思われる病院は
余り評判がよろしくない。
車で15分ほどのショッピングセンターの中にある病院に電話してみた。
看護師さんらしき人が電話に出てくれ、ほっとしたのもつかの間、
事情を話すと
「先生がいらっしゃるのは9時半なので、
それまでお待ちになれるならおいでください。」
とのこと。この時、8:30
あと1時間。
うーん、ちょっときびしい…。
こうして、
トイレに行ったり
電話帳を眺めたりしているうちに
頭が段々ぼうっとして
思考力が低下して来た。
〈だめだ。
こんなんじゃとてもじゃないけど
新患受付の書類なんか、
自分で書けやしない。
タクシーは無理だ。
救急車を呼ぼうか?
でも、どこへ連れて行かれるかわからない。〉
思案した挙句、
私は知人の高山さんに助けを求めた。
高山さんはさらに伊東さん(元看護師)にも連絡を取ってくれ、
二人で付き添ってくれた。
(予約制の病院にもかかわらず、
伊東さんがあらかじめ急患であることを連絡しておいてくれたので、
非常に助かった。)
車の中では、
それでもまだ普通に話すこともでき、
かろうじて平静を保っていた。
ただ、
車の中で”決壊”しないかそれだけが心配だった。
30分ぐらいで病院に到着。
もう限界だった。
伊東さんに「受付お願いします。」
と保険証を渡して、
一目散でトイレへ。
決壊一歩手前。危なかった。
ところが、
タンポンを抜くと
“どどどっと”
もう血が流れるというより
塊が落ちる音がして、
呼吸が荒くなってきた。
なんとか身支度を整えて
手洗い場に出たその瞬間、
ぐわっと、
ものすごいめまいに襲われた。
〈これが眩暈というものか…。
すごい。とってもじゃないけど、
立っていられるものじゃない。〉
兎に角トイレから出なければと…
目で出口を探す。
あった。
出口の扉を押したとたん
私はその場に四つんばいに倒れた。
〈あぁ、倒れるというのはこういうことか。もう立てない…〉
意識はあり、
一人じゃないという安心感からか、
不思議と冷静だった。
ばたばたと誰かが走ってくる音がして、
私は抱きかかえられた。
伊東さんの
「病院の中だからね。大丈夫。
しっかりして。
心の中でお題目を唱えるのよ。」
という声だけがしっかり聞こえていた。
それから数分間
私は意識を失っていたらしい。
車椅子に乗せられ、
診察室に連れて行かれたような気もするのだが、記憶が定かでない。
気がつくとベットの上に寝かされていた。
〈あぁ、診察室にいるんだな。〉
と思った。
まわりからいろいろな声がした。
看護師さんがてきぱきと服や下着を脱がせてくれる。
もう、まな板の上の鯉。
どうにでもしてください状態だった。
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