経過良好

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経過良好

夜になり、消灯時間となった。 開腹手術をしないで済んだため、 傷の痛みはまったくない。 ただ、微熱と軽い頭痛の症状はあった。 それと、 人工呼吸器を入れた後の喉の違和感、 口の渇きが少々つらかった。 翌朝にならなければ、 水分も摂れない。 手術の当日は、 2,3時間おきに看護師さんが様子を見に来てくれる。 出血は増えてないか、 尿の出具合、 爪の色などをすばやくチェックしていく。 もし、出血が増えて止まらなければ、 再度開腹手術をして子宮を全摘しなければならないので、 そうならないことだけを祈っていた。 翌朝、 出血もなく経過が順調だったようで、 起き上がることができた。 看護師さんがベットを起こしてくれ、 温かいタオルと口をすすぐ水を持ってきてくれる。 タオルで顔を拭いて口をすすぐとさっぱりとした。 朝食の時間には 温かいお茶をいただけて、 ほっと一息。 診察の時間になった。 尿の管と点滴を下げたまま、 そろりそろりとベットから足を下ろす。 点滴を下げたポールにつかまって立ち上がると、 少しふらつく感じはしたが歩くことができた。 病室からすぐ近くの診察室までポールにつかまりながら歩いていく。 診察室では、 止血の為のガーゼを取り、 傷と子宮の状態を診察してもらう。 幸い出血もなく、子宮の状態も良好。 病室に戻ると、 尿の管と点滴もはずされ、 自由の身となった。 後は、なるべく歩くように、 とのことなので、 お茶を汲みにいくことと トイレに行くことが毎日の仕事となる。 まだシャワーも使えないため、 看護師さんが熱いお湯を持ってきてくれ、 体を拭いてくれる。 このときやっと手術着から、 昨日長女がそろえて持ってきてくれた下着とパジャマに着替えた。 歩けるようになったので、 さっそく昨日付き添ってくれた高山さんと伊東さんにお礼の電話をした。 「もう、歩けるの?」 とビックリしつつ、 回復を我がことのように喜んでくれ、 励ましてくれる。 話しながら、 思わず涙があふれそうになった…。 お昼になると、おかゆが出た。 一日半ぶりの食事だ。 おかゆといっても、 ちゃんとおかずと 鉄ジュースもついてくる。 食事はなかなかおいしくて、 毎食完食しておりました。 ごはん200g (だって、「貧血食」なんて書いてあると、 全部食べないといけないのかなぁと思うじゃないですか…。 ちょっと苦しい、言い訳?) お陰さまで…、入院ぶとり。 (笑 何キロかって? ちょっと言えない重さです。 なんと妊娠中より太ってしまいましたから。 初の60キロ越え。 ありえん…。 退院後、体重を落とすことに苦労することになります。これは余談。) 食事をし、歩けるようになると、 少しづつよくなっている実感が出てくる。 ただ、悩みは微熱と頭痛。 微熱は手術後なので仕方がないとのこと。 頭痛は貧血のせいなのだそうだ。 我慢するより薬を使ったほうがよいとのことなので、 鎮痛剤を出してもらう。 これで楽になった。 昨日、 旦那が気をきかして本をもってきてくれたのだが、 さすがにまだ読む気がしない。 食事をすると、 ちょっと疲れて一休み。 そんな感じ。 もう、何も心配することもなく、 頭の中はからっぽ。 まるで赤ちゃんに戻ったよう。 「休む」というのは、 本当はこういう状態のことをいうのだなぁと思った。 これで、 鬱も治ってしまうかもしれない。 (鬱もこの当時患っていた。) 夜になり、 また旦那が子供達を連れてきてくれた。 「公文、ちゃんと行った?」 「いったよ。」 私がいるときよりしっかりしてる。 甘えん坊の四男がしきりに淋しがる。 ひとしきり話して、 洗濯物をお願いすると、 一人ずつハグして、 エレベーターまでお見送りして別れた。 同室の人が驚いていたが、 我が家は結構大きくなっても スキンシップしてましたねぇ。 20時をもうすぐ回ろうとするころ、 ご近所で同じ学会員の片山さんが見舞いに来てくれた。 山形からの仕事帰りなのに。 疲れているのに。 もう面会時間も終わろうとしているのに、 駆けつけてくれた。 「顔見るまでは安心できなくてさ。 昨日来れなくてごめんね。」 情に厚い片山さん。 私にとっては、姉のような存在。 家族のことまで気を配ってくれる。 翌朝からは、 毎日状況報告メールを入れた。
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