11. 隣にいて欲しい人はここには居ない

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 頭の後ろに手を当てがわれて恐怖のあまりぎゅっと目を閉じたが、パチンっと音がするとその手はすぐに離れていった。 「?」 「髪紐の代わりだ。これを使え」  自分の頭の後ろに手をやると何か硬いものに触れた。髪の毛から取って見てみると、花を模した髪留めだった。 「え……? いや、こんなお高そうなの頂けません! 汚したり無くしたりしたらどうするんですか?!」  何がどうしたら、使い古したリボンがこんな髪留めに変身すると言うのだろう。  髪留めに嵌められている赤くキラキラと輝く物が、ガラス玉でも、ましてやその辺に転がっているような石ころでもないのは、物を見る目のないアリシアにだって判別出来る。 「汚れたり無くしたりしたらいくらでもまた買ってやる。だから毎日必ず付けてこい」 「そんな……」 「分かったな?」  仕方なく頷くと、フェルディナンドが前髪の上から額に優しくキスを落としてきた。 「それじゃあ俺はまた会場に戻る。お前もあまり夜更かしするなよ」 「はい……」  フェルディナンドの足音がしなくなると、アリシアはその場にへなへなと座り込んだ。 「何だったの……?」  覗いてくる馬に問い掛けても返事は無い。  しばらくアリシアはぼんやりと、貰った髪留めを見つめた。 …………………………………………………… 好きな人を前にするとついついイタズラしたくなっちゃうフェル。こんな事ばっかりやってるからダメなんだって、誰か言ってやって下さいw
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