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和やかな雰囲気で笑い合っていると、ハンナがぷくーっと不満げに頬を膨らませはじめた。
「シェレシュの世話をアリシアに頼みたいってフェルおじ様にお願いしたら「ダメだ」って言うのよ。んもう、ケチなんだから」
「はは、アリシアは既に手一杯の状態なんだからシェレシュの世話まで請け負ったらフェルの馬の面倒を見られないだろう?」
「それは分かりますけど」
「乗馬の指導は引き続き出来ますので、そんな顔をなさらないで下さい。装蹄も装蹄師長に付いて私がやる事になると思いますし」
新たにハンナ専属の厩番として配属された人は、何度かシェレシュの様子を見に来た時に見掛けたけれど、優秀そうな人だった。安心してシェレシュを任せられそうはのでなんにも心配していない。
渋々ながらも納得した様子のハンナが何かに気づき、父親と母親にコショコショと耳打ちしている。すると3人で怖いくらいの笑顔でアリシアの頭の方を見てきた。
「どうかなさいましたか?」
藁でも付いているのかと髪の毛をパタパタと払っていると「うふふー」とハンナが気持ちの悪い笑い声を出した。
「その髪留め、フェルおじ様から貰ったんでしょう?」
ハンナの目線の先、正しくはアリシアの顔の裏側にはフェルディナンドから貰った髪留めを、言われた通り毎日付けている。
髪紐の代わりと言われたけれど三つ編みの先に付けるのはしっくりこなかったので、ハーフアップをしたとろに髪留めを付けて、さらに三つ編みをしている。
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