13. 馬を訪ねてどこまでも

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 天候の悪い日の事を考えると馬車の方がいいけれど、馬車移動だとある程度整備されて道幅も広くないと通れない。あちこちに立ち寄って見るとなると、行動の自由が効くということで乗馬での移動となった。  それに雨季になる秋までには王宮へ帰ってくる予定だし、アリシアも頑丈な体しているのでその辺はあまり心配ないのだろう。  乗っていく馬はと言うと、アリシアのいない王宮にクルメルを置いて行く訳にはいかないので必然的にクルメルを使う事になり、ヴァルテルはと言うと、新しい馬をアリシアに見立てて欲しいという事で途中で牧場に寄ることになった。  新しい馬を手に入れる予定のヴァルテルは、後でアリシアが乗る予定のバームスをフェルディナンドから借りて乗って移動している。という事で、フェルディナンドと相乗りするハメになってしまった。  バームスの方に一緒に乗せてもらった方が、気が楽だったのになぁ……。  クルメルは身体が大きく、2人乗りでもビクともしないくらいのパワーがあるので仕方が無いのだけれど。  通り過ぎていく家々の窓辺や庭先に植えられたゼラニウムの花が嫌でも目に入ってくる。虫が嫌がる匂いがするので虫除けにもなるし花期も長いしで、よく植えられる植物なのだ。  ゼラニウムと言えば髪留めを貰って以降、特に何も無いので、アリシアも特別何か事を起こしたりはしていない。  さっさと誰かと政略結婚でもしちゃえばいいのに。  何かに思い悩むのは自分らしくないし、調子が狂う。
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