13. 馬を訪ねてどこまでも

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「ああああああああぁぁぁ! めちゃくちゃスーパーウルトラかわゆいーーーーーっ」 「おい、何なんだ?」 「見て分かんないんですか? クルメルジュニア……えーと、牝馬(女の子)だからクルメル二世? んん? ミンカ二世かな。この母馬はクルメルに種付けしてもらったミンカですよ」 「アリシアちゃん大丈夫? 鼻血でてるよ」  ヴァルテルにもらったハンカチで鼻血を拭いていると、父親が事務所から何だ何だと出てきた。 「おお、アリシア、早速見つけたか。先週産まれたんだが、どうせ今日来るからと思って連絡はしなかったんだ。いーぃ馬だろう?」  問答無用で良いに決まってる。額から鼻にかけてに白い模様がある黒鹿毛の牝馬で、赤ちゃん独特のあどけない表情に悶絶してしまう。 「アリシアさんのお父様でらっしゃいますか? わたくし、王宮軍部中尉のヴァルテル・アルパートと申します。本日は娘さんに馬を見立てて頂きたく参りました」  貴族だと平民を見下すような人も沢山居るし横柄な態度を取るようなのもいるけれど、流石はヴァルテル。本当に品のいいヒトは誰にでも丁寧な挨拶をするものなんだなぁ、と感心してしまう。
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