13. 馬を訪ねてどこまでも

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「これはどうもご丁寧に。こちらこそ娘がお世話になっております。こちらの方は……フェルディナンド殿下でしょうか?」  父がフェルディナンドを不思議そうな顔で見上げる。と言うのも今回の視察は内密に行うようで、変装のためにフェルディナンドは金色の髪をヴァルテルのような黒色に染めている上に伊達メガネをかけ、軍服ではなくちょっと育ちの良さげな一般的な男性服を着ている。  キシュベル人はもともと南東からやって来た民族なので、これから行くサダルの人とは顔つきが少々異なる。サダル人はこげ茶や黒と言った暗い髪の人が多く、顔もキシュベル人と比べるとどことなくモッサリとした印象。  髪色を差し引いてもフェルディナンドみたいな爽やか系は嫌でも目立つので、メガネをかけてカモフラージュしているみたいなのだが……  黒髪にメガネで、どこか別次元の色気を醸し出してしまっている。  ちなみにアリシアは栗色でやや明るめな毛色をしているものの、さほど目立つ色でも目立つ顔でも無いのでこのまま行く事になった。
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