13. 馬を訪ねてどこまでも

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 さらに王太子と王太子妃からも馬を頼まれているので、選んだ馬を王宮に届けてもらうよう父に頼んでおいた。  フェルディナンド、アリシア、荷運び馬を挟んでさらにヴァルテルと続き、用事が済んだ牧場を後にする。  他の領地へ行ったことも、ましてや他国へ行ったことの無いアリシアにとってはかなりの大冒険。地図を片手に今どこにいるのか時々確認しながら、2人の後をひたすら付いて行く。  基本的に2人が聞き込みをしたり見て回っている間アリシアは、その日に泊まる宿屋の厩舎に馬を預けて手入れなどの面倒を見ている。  旅とはいえ馬の世話以外にやることの無いアリシアはのんびりまったりしている時間が多く、王宮で働いていた時よりもずっと楽。  宿も厩舎がついたそこそこ良いところで、もちろん別室にして貰っているので、自分は税金泥棒しているじゃないかと不安になってくる。  旅に危険は付き物。と、ある程度は覚悟して出てきたけれど、極力ひと気が多く警備の手厚い安全な道を選んでくれているようで、今のところ魔獣の襲撃にも宿場町に入り損ねて野宿をした時の1度しかあっていない。  それもアリシアが馬の嘶き声に驚き目が覚めて、何事かと目が覚めた時には魔獣はのされたあとだった。
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