13. 馬を訪ねてどこまでも

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「うーん、それはどうかな。キシュベルの属国になる事でサダルは戦からは解放された訳だし、全く恨んでないってわけじゃ無いだろうけど、恩恵の方が大きいから文句は言えないんじゃないかな」 「アリシアはサダルが何でキシュベルの属国になったか知っているか?」 「確かサダルは鉄鉱石や銅が多く取れる国として有名で、各国から狙われていたんですよね?それを属国となる事を条件にキシュベルが手を貸したとか」  フェルディナンドの質問に、むかーし教会で教えてもらった授業の内容を頭の片隅から引っ張り出す。  サダルはキシュベルより二回り小さな国だが、キシュベルをはじめとする周辺国よりも圧倒的に多くの鉄鉱石が採れる。  もちろんそんな資源が豊富に採れる地を他国が放っておく訳は無く、サダルは常に戦の地となり長い長い戦いで国民は疲弊し、生活水準が低く文化的にも遅れをとっていた。  いよいよ疲れ切った当時のサダルの王に、キシュベルの王は属国となる事を持ち掛けた。  一定の条件を飲めば国として存続させて貰える。  国の滅亡を避けたかったサダルはキシュベルの属国となる事を了承し、鉄資源をキシュベルに提供した。  他国よりも圧倒的に優れたキシュベルの騎馬技術と馬の数、そしてそこにサダルの鉄資源が加わり、キシュベルとサダルは他国からの侵略を防ぐ事に成功。サダルの地をめぐる長い戦いはようやく幕を閉じた。と言う事らしい。
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