Street of Broken Dreams フルあらすじ

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Street of Broken Dreams フルあらすじ

(ネタバレ版。オチまで入っています)  江崎灯真は高校1年生。東京の名門私立男子校で幼馴染の正樹と光輝と一緒にバンドを組み、平和な毎日を送っていた。裕福な家庭に育ったが、父の急逝で全財産を失い、母と共に香川県高松市にある母の実家へと転居する。高校を卒業したら東京に戻り、プロのミュージシャンになろうと正樹と光輝と誓い合うが、高松での生活は苦しく、夢を見ている余裕はなかった。  恵まれた生活から一転して生活費を稼ぎながらの苦学が始まるが、最初に出会った級友・桐生純也が自分よりもはるかに厳しい生活環境の中で懸命に生きている姿に灯真は励まされる。歌が上手く、容姿端麗にもかかわらず、自分を磨いたり、夢をもったりすることさえ知らずに健気に生きる純也に灯真は惹かれていく。やがて灯真は自身が同性愛者であることを自覚するが、やくざ者の父の仲間に犯された過去に怯えている純也を傷つけたくないがために告白できない。東京で待つ正樹と光輝、高松での親友である純也との間で灯真は揺れるが、劣悪な環境から純也を救い出してほしいという担任からの後押しを得て、灯真は純也と共に東京で就職する道を選ぶ。  上京すると純也は社会人としてまともに扱われ、女にもて、バンドという夢を持ち、新しい生活に染まっていく。夢も希望もなかった純也を救い出して導いてきたにもかかわらず、灯真は純也が女に目覚めていく様を心傷めながら傍観するしかない。愛情に飢えた純也は人肌を感じて安心するようで女に溺れ、男同士の会話として灯真にうちあけるようになる。見かねた光輝が純也に灯真の気持ちを耳打ちしたことで、純也は人生で一番自分を愛してくれた人を傷つけていたことに気づく。純也は灯真に唯一無二の愛を確認した上で、ゲイではない自分が女に恋することは許してほしいと言いながら、灯真を受け入れて特別な関係に陥っていく。  灯真は純也との不思議な関係に溺れながらも、紆余曲折を経てバンドをデビューへと導く。ところが、いよいよデビューという時に純也の恋人・詩織が妊娠する。詩織はバンドが軌道に乗るまで何年でも待つと内縁関係を承諾する。メンバーと事務所の一部の者だけがその事実を知り、詩織と生まれた子・伶を守っていく決意をする。  飛ぶ鳥落とす勢いでスターダムにのし上がったバンドの成功と内縁といえども自分自身の家族を持つことができたことで純也は幸福感に満たされる。自分を幸せに導いてくれたのは灯真だと感謝する。純也の幸せを願いつつも、灯真は純也との特別な関係を断ち切れない。内縁関係を隠しながら育児に追われる詩織の目を盗んでは逢瀬を重ねてしまう。  ある日灯真は詩織に呼び出される。純也が女と浮気しているようだからなんとかしてほしいという。詩織は、灯真と純也の関係をすでに感知していたが、純也の幸せを思って家庭を壊そうとは思っていない灯真の愛情の深さを認めていた。でも、女は家庭を壊すだろうと案じていた。灯真の言うことであれば、純也は聞くはずだという。  純也の行動を注意深く観察すると、地方巡業中もホテルに朝帰りするなど怪しい動きが多かった。灯真は内縁関係で耐えている妻子がいるにもかかわらず何事だと純也を咎め、そんなお前は大嫌いだと言い放つ。わかった、と言った純也だったが、帰京後、女優・樫村美咲の自宅マンションから投身自殺をしてしまう。  純也が幸せの絶頂で、愛する妻子を残して、親友以上である灯真に何も告げずに自ら命を絶つなどあり得ないと信じる灯真は美咲が何か隠していると詰め寄るが、美咲の証言と警察の現場検証によって純也は自死したと報じられる。美咲は妊娠していた。涙の記者会見は伝説となった。詩織は伶の平穏な生活を望んで、日陰の身であることを貫く決心をする。  純也を失った衝撃で灯真は二度とステージに上がれなくなるが、隣で暮らす詩織と伶に癒される。灯真と詩織は共に純也を愛した同志として傷を舐めあい、支え合う。灯真は純也が遺した伶を愛おしみ、愛情を持つ。詩織との契約結婚のような生活が続く。詩織は男女の性愛などなくてもいい、純也を想いながら一緒に伶を愛してくれるのは灯真だけだという。二人は間に純也を挟んだ特殊な情で結ばれた法律上の夫婦となる。  表舞台を降りた灯真はインディーズ・レーベルを立ち上げ、裏方としてのキャリアを積んでいく。人工授精で授かった娘・結に血縁を結ばれて、家族四人で幸せに暮らすが、灯真は詩織の黙認のもと外では遊びの恋愛を続ける。詩織は灯真が男と恋愛することを許しつつも、純也とセットである自分を悲しませないでほしいと懇願する。灯真は詩織から性愛を超えた深い愛を感じ、かつてストレートのはずだった純也に同じことを思った自分を重ねる。  子どもたちに深い愛情と豊かな音楽教育を与え、幸せな家庭を築きつつある灯真だったが、仕事では純也を超える逸材に出会えないことに歯がゆさを感じていた。ある日、帰宅すると伶が勝手に自分たちの過去のDVDを大画面に流している。いつか見せようとは思っていたが、封印してきた過去の栄光のステージだった。歌う純也の映像を見ながら、伶が興奮して「この人誰?」「この人みたいになりたい」と叫ぶ。その姿に灯真は伶こそが自分たちが途中で失った夢の続きを追ってくれる者に違いないと予期する。 (20年後の物語『Showbiz☆Brothers~因縁のDNA~』に続く)
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