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あまりに理不尽な回答に、啓祐は強い苛立ちを覚えた。
確かに、勝手にパラレルアイランドを起動してしまったという負い目はあるものの、単に好奇心が勝っただけだ。しかもそれは菊池には関係のないこと。
どうやらマジっぽいゲーム世界の転生も、最初からそうと知っていれば、参加したいだなんて思わない。
「ふざけんなって。こんな人権無視、通るかよ! 早く帰らせろよ」
「ここに来た大半のプレイヤーがそう言いますが、無理ですよ。諦めてください」
「本当にこんな非現実的なこと受け入れられてないけど、でも、ここに呼び出すことができるんなら、帰らせることもできるんだろ?」
「はい。クリア条件であるキーアイテムを5つ集めたら出来ますよ。
まぁ、クリアできるのは最初に条件を達成した1チームのみで、他のプレイヤーは条件未達成でゲーム終了となってしまいますけどね。
だから言ってるんです。早く諦めてスタートした方がいいですよ。先を越される前に」
何と言っても菊池は折れないだろう。啓祐は思わずため息をつき、頭を抱えた。
「何のためにこんなことを……」
ナビの立体画面という技術、他の世界へ肉体を転送する技術は本物っぽい。
だが、一体何故命懸けのゲームに参加しなければならないのか。そこにまだ納得できる解答を得ていない。
菊池は、ここに来た全プレイヤーが恐らく抱くであろう疑問に、即答した。
「そういうゲームだからですよ」
この理不尽を諦めて受け入れる他ない。
啓祐の命運は、彼女ら運営が握っていると言っても過言ではない。
しかし彼女はゲームということを強調しているが、そこにゲーム以上の陰謀めいたものがあると、啓祐は察していた。
「お前、何を企んでるんだ……」
「さぁ、何でしょうね。
強いて言うなら……異世界、アドラステア大陸の謎を解き明かして欲しい。というところですかね?」
あくまでもゲームのシナリオの一環であると、菊池はわざとらしくはぐらかした。
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