最後の切り札

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最後の切り札

「ぐすっ・・・ぐすっ・・・」 「・・・・・・」 「・・・・・・」 「・・・・・・」 「・・・もう最低・・・」 「お、おい!どこ行くんだよ!お前は最近咳が酷いんだから安静にしていないと」 「だからってもうアンタに任せておけないわよ」 「ど、どうするんだ千路子?」 「どうするも何も。電気代と家賃振り込んでくるのよ」 「で、でもお金が・・・」 「有るわよここに。5万だけどね、何とかギリギリ足りるわ」 「え?えーーーーー!!ど、どこからそんな大金が!」 「アンタが毎日毎日パチンコに行ってる間に、実は私も小説を書いていたの。それをアナザー社のコンテストに送っていたのよ。で、それも準大賞に入選したって訳」 「す、すげえ・・・」 「アナザー社さんに申し訳なかったけど、何とか頼み込んで賞金は書留で送ってもらったの。口座が無いってやっぱり恥ずかしい!」 「気にしない気にしない」 「まったく・・・ま、とにかくそういう訳よ」 「千路子、素敵だぁ!!」 「分かったならどいてくれる?私が振り込んでくるから、これが本当に最後の最後の切り札なんだから!」 「待て千路子」 「何よ、絶対アンタには任せないわよ」 「違う!その5万を振り込めば確かに今日は凌げるだろう。だが来月はどうするのだ?」 「そ、それはまた考えるわよ」 「甘いなあ、甘いよ千路子、人生とはもっと計画的でなければならない」 「アンタが言うか」 「千路子、その5万を僕に預けろ。3時間で3倍にして・・・・」 「くたばれーーーーー!!!」 「ぐはーーーーーーー!!!」                                ー完ー
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