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千路子先生
「わ、私が⁉」
「うん、千路子もアパートでじっとしていても色々と溜まってくるでしょ」
「一番溜まっているのはお前と結婚してしまった後悔だけどな」
「うぐっ・・・と、とにかく千路子が小説を書けばいいんだよ」
「む、無理だよ、じ、自信無い・・・」
「イケるって~」
「それにさ、そのコンクールの締め切り明日まででしょ?私タイピングも遅いし、仮に何か書くとしても間に合わないよ」
「ふっふっふ、ならば千路子が言葉で俺に伝えればいい」
「そうか、アンタ、タイピングだけは恐ろしく早かったね」
「だけ、ではない!」
「・・・ま、まあ、原案の一つや二つくらいなら何となくあるけど・・・さ」
「ほら~、その気になって来てるじゃん!千路子ったら、ムッツリ~」
「やっぱりやめた」
「あーーー、嘘嘘!嘘です、千路子先生~!早速取り掛かりましょう!!」
「しょ、しょうがないわね・・・アンタの名前でエブリデイ社にも応募するか・・・」
「何か言った?」
「いえ、何も」
「あ」
「どうしたの?」
「その前に1つだけ確認していい?」
「何よ」
「自分をイケてると勘違いして浮気しているマヌケな夫の話でさ、夫婦両方からの視点で書かれている・・・」
「幸福先生の小説だね」
「やっぱりダメか・・・」
「アンタが初代丸箔利十作だよ」
「よ、よせよ」
「褒めてないわ」
「仕方ない千路子!頼む!やっぱりコンクールに向けての最後の切り札はお前だ!」
「ちっとも嬉しくない」
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