14人が本棚に入れています
本棚に追加
最後の切り札
「ぐすっ・・・ぐすっ・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・もう最低・・・」
「お、おい!どこ行くんだよ!お前は最近咳が酷いんだから安静にしていないと」
「だからってもうアンタに任せておけないわよ」
「ど、どうするんだ千路子?」
「どうするも何も。電気代と家賃振り込んでくるのよ」
「で、でもお金が・・・」
「有るわよここに。5万だけどね、何とかギリギリ足りるわ」
「え?えーーーーー!!ど、どこからそんな大金が!」
「アンタが毎日毎日パチンコに行ってる間に、実は私も小説を書いていたの。それをアナザー社のコンテストに送っていたのよ。で、それも準大賞に入選したって訳」
「す、すげえ・・・」
「アナザー社さんに申し訳なかったけど、何とか頼み込んで賞金は書留で送ってもらったの。口座が無いってやっぱり恥ずかしい!」
「気にしない気にしない」
「まったく・・・ま、とにかくそういう訳よ」
「千路子、素敵だぁ!!」
「分かったならどいてくれる?私が振り込んでくるから、これが本当に最後の最後の切り札なんだから!」
「待て千路子」
「何よ、絶対アンタには任せないわよ」
「違う!その5万を振り込めば確かに今日は凌げるだろう。だが来月はどうするのだ?」
「そ、それはまた考えるわよ」
「甘いなあ、甘いよ千路子、人生とはもっと計画的でなければならない」
「アンタが言うか」
「千路子、その5万を僕に預けろ。3時間で3倍にして・・・・」
「くたばれーーーーー!!!」
「ぐはーーーーーーー!!!」
ー完ー
最初のコメントを投稿しよう!