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その1
カチカチカチと、テレビに視線を集中させ、ゲーム機のコントローラーを操っていた時だった。
ブー、ブー、ブー。
傍らのスマートフォンが振動した。画面を見ると、ホスト崩れの件でお世話になったM君からだった。
俺はそこでゲームをストップさせると受話器のボタンをスライドさせた。
「もしもし? 久しぶりだね」
『どうだい? あれから男の調子は?』
「そうだね。不思議なことに見なくなったよ」
『そりゃ良かった。ところで、この間、君のおじさんが世間体以外に何もない無能王だって話を前にしたよな? 社員だ社員だ騒ぐだけで会社におぶさっているだけの、何の能力もないっていう』
「ああ…」
ここで、自分はかつては仲の良かった、しかし、今はすっかり険悪な関係になってしまった母方のおじ叔母夫婦の事を思い出した。
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