僕の彼女

1/8
前へ
/21ページ
次へ

僕の彼女

それから3年後​───────… 「りょうちゃーんっ!」 胸にピンクのコサージュを付けた 彼女が僕の名を呼びながら こっちに駆け寄ってくる。 今日は高校の卒業式だった。 ちょうど海月桜が満開を迎えた日だった。 当時。まだ半透明だった淡い恋心は 今ではすっかり不透明だ。 おまけに。 日に日に、彩度を増していく。濃くなっていく。 彼女がエクボを凹ませながらニコッと笑う。 「行こっ」 手を、差し出される。 細く、白い、綺麗な、手。 淡く、儚い、今にも消えちゃいそうな、手。
/21ページ

最初のコメントを投稿しよう!

121人が本棚に入れています
本棚に追加