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僕の彼女
それから3年後───────…
「りょうちゃーんっ!」
胸にピンクのコサージュを付けた
彼女が僕の名を呼びながら
こっちに駆け寄ってくる。
今日は高校の卒業式だった。
ちょうど海月桜が満開を迎えた日だった。
当時。まだ半透明だった淡い恋心は
今ではすっかり不透明だ。
おまけに。
日に日に、彩度を増していく。濃くなっていく。
彼女がエクボを凹ませながらニコッと笑う。
「行こっ」
手を、差し出される。
細く、白い、綺麗な、手。
淡く、儚い、今にも消えちゃいそうな、手。
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