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「私ね───────…
これが散ったら消えちゃうんだ」
4月1日。
あれは確か、15歳の春。
幼馴染の高梨瑠璃が唐突に放った言葉だ。
満開の海月桜を、指さして。
彼女の視界は今。
海月桜で埋め尽くされている事だろう。
だが。
僕の視界は彼女で埋め尽くされていた。
海月桜を見上げる彼女のその、端正な横顔に。
今日は4月1日。
エイプリルフールだ。
僕がそんな単純な仕掛けに
気付いていないとでも思ったのだろうか。
これは彼女の……
嘘だ。
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