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「ねぇ、イースターっていつだっけ?」
私はヒナにそう聞いたんだ。
去年だったかな。それともその前だったか忘れちゃったけど、人間には卵を使ったお祭りがあって、私たちのエッグのようにカラフルにしたものを使うんだって知ったんだ。
そのお祭りの事を、イースターというらしい。
「春分の日の後にやってくる満月の次の日曜日だから……
う~んと、来週の日曜日になるのかな?」
と言うことは、毎年日が変わるってことなのね。そんな事を知っている辺り、さすがヒナだ。
「そっか。
ありがと」
「いえいえ!」
と、えっへん!と言った感じで、腕組をするヒナだった。
私たちはその鞄に入ったまま、電車に乗り込んだ。
女の子は、すし詰めの電車のなかで、鞄で胸元を隠すように抱きかかえていた。
私たちは鞄からはい出て、女の子の肩に登り、耳元で『幸せが訪れますように』と呟いた。それから、たくさんの頭の上をひょいひょいとジャンプして、荷棚の上にスタンバイした。
私たちの姿は、普通の人には見えない。だからこんなことが出来るんだ。
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