2.見えるのか? 見えないのか?

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 妃緒相手に弟たちの異様な力について、しゃべりまくっていると、誰かが近づいてくる気配がして顔を上げる。数久が柔らかく微笑んで立っていた。 「直ちゃん、部屋に案内してくれるって」 「もう話、終わったのかよ?」 「うん、だいたいね」  オーナーに連れられて、たどり着いた部屋は2階の南側に位置する部屋だった。 「他に客はおりませんから、お一人で一部屋使ってもかまいませんよ」  そうオーナーは言ってくれたが、数久はやんわりと断ってしまう。  で、結局、ゆずるが一人で一部屋使い、直久と数久は同部屋になった。 「なんで、ゆずるだけ……」  文句を言い出した直久に、数久はうるんだ瞳を上目使いにして、 「直ちゃん、僕と同じ部屋嫌なの?」  と、言う。  数久の必殺技である。 何だかんだ言って、俺はいつもコレにものすごく弱い。 「な、な、何を言ってんだよ、数!嫌なわけが……」 「僕とより、ゆずるとの方がいいんだね。それとも一人の方がいいの? ……僕…何だか、一人で寝るの、怖くって……」 「か、数ぅー」  数久のその可愛らしさに思わず、ぎゅうっと抱きしめる。 「く、苦しー」 「もぉう、数ぅってば、怖がり屋サン。いいさ、今晩はこのまま抱きしめて寝てあ・げ・る」 「けっ、結構ですっ」 「ああ、数ぅ〜」  一人いちゃっている直久は、肩越しに、数久がゆずるに向けて片目を閉じ、それに答えるようにして、ゆずるは肩をすくめてみせたことに気付かなかった。   【改ページ】 ▲▽    荷物を部屋に置き、1階のロビーにいく。  そこで、直久は数久から簡単に、この家の事情を説明して貰っていた。
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