2.見えるのか? 見えないのか?

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「うん、僕もそうだよ。それで、さっきから透視しようとしているんだけど、真っ暗になっちゃって、ダメなんだ」 「おいっ。ゆずる。お前はどうなんだよ。見えんのか? 見えないのか?」 「うるさい。パシリは、まず、黙れ!」    ゆずるが、すぅーと目を細める。だが、 「だめだ」  と短く言い放ち、ため息をついた。  聞くところによると、本当ならば、ゆずるは数よりも強い力を持っているらしい。  それはゆずるが、俺らの家である大伴家の本家筋にあたる九堂家の御曹司だからだ。  九堂家は妙な力をもっとも強く受け継ぐ御家なわけで、ゆずるはその九堂家を継ぐようにと定められている。そのため、幼い頃から、完璧に力を使いこなすための特別な教育を受けているのだという。  ――な、なんじゃぁい、その教育って! 怪しい。かなりアヤシイ……。  ところが、だ。ゆずるの力はひどく不安定なものなんだと。  都市の一つや二つ、簡単にぶっ飛ばせるほどの力がある時もあれば、全くなくなってしまう時もあるらしい。数の話だと、それは月の満ち欠けに関係があるらしいとか……。  そう言えば、母さんや鈴加なんかも、そんなこと言っていたなぁ〜。  あっ、鈴加つーのは、俺らの姉貴ね。  ――まぁ、そんなわけで、ゆずるは、力が弱まった時の依頼は、かならず数を連れている。  数のフォローが必要な程、使いもんにならない状態だからだ。  ……ということで、今のゆずるには、数にできなかったことができるわけがなく、ゆずるは舌打ちをした。 「何かご存じですか?」  妃緒に問う。妃緒は頭を横に振った。
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