1.またずいぶんと現実、いや、現代離れした話だなぁ

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 あの子と私、どこが違うというのだろう?  同じ顔。同じ声。    どうして、私じゃないの?  どうして、あの子なの?  私のどこがダメなの?  なぜ?    私は何のために生まれてきたのだろう?    私はあの子の鏡ではない。  私はあの子の影ではない。  私は私。  私はここ。  ここにいるから。  だから、私を見てよ!    どうして私は二人いるの?  どうして?  なんで?   【改ページ】   ▲▽    辺り一面が真っ白い。  東京では、ちょいとお目にかかれない銀世界に、思わずバスの窓から身を乗り出した。 「うおおおおおおおおお。すっげぇー。おい、すげぇよ」  そう叫んでから、直久は、彼の双子の弟に振り返る。双子の弟――数(かず)久(ひさ)は呆れたような声を漏らした。 「直(なお)ちゃん、みっともないよ。それに危ないから……」  と、兄の体をバスの中に引きずり戻す。だが、直久は、すぐにその躰を再び窓から乗り出させた。 「大丈夫だって。知ってんだろ? 俺の神憑り的な運動神経の良さを。心配すんなって。――はあ、マジいい眺め。これが本当の銀世界ってやつだな。うん」  などと言ってやると、数久は心の底から呆れ返って、ため息をついた。  彼は、危ないよ、と言う前にみっともないと言ったのだ。だが、そんな言葉、直久には聞こえない、聞こえない。最愛の弟が自分を心配してくれたということだけで、頭が一杯だった。  直久は冷たい空気を目一杯吸い込んで、再び叫んだ。 「走りてぇー」
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