3.ゆずる、しっかりしろ! 俺に掴まれ!

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 それを、数が『消滅させる』ではなく、『追い払う』と言ったのは、数のポリシーが『霊に自ら成仏させる』なもんだからだ。自分はその手伝いをすれば良く、消滅させたりなどの強制的な除霊はしないのだと言う。だから、意志のない浮遊霊は、文字通り、その場から追い払うのだ。  はぁぁぁぁぁぁぁ〜。数ってば、なんて優しい奴なんだぁ。  し・か・も、和服がめっちゃ似合うし、すっげぇ、色っぽいの!  目の保養、目の保養と、食い入るように見つめていると、数は指を重ねたり、折ったり、立てたりしている。 印を結ぶってヤツらしい。ホラ、仏像がよくやってんじゃん。  O・Kのマークとか、影絵で言うキツネさんとか……って、ちょっと違ったかぁ?  と・に・か・く、印を結びながら、何かブツブツつぶやいている。  そうすると、数が所有している『式神』っていうのが現れて、数の命令を聞いてくれるらしい。  『式神』っていうのが何なのか?と言うと、コレが難しい説明になる。  『式神』って言うんだから神様なのかっと言うと、違うだろうし。  どちらかと言うと、西洋的に言って、魔女なんかが使用する『使い魔』に近いのではないかと思う。  そもそも古来日本では、何でもかんでも『神』として崇め奉る習慣があったわけで、雷とか自然現象はもちろん、石とか山とか自然物も、はたまた無念に死んでいった人間なんかも『神』だったのだ。  『神』と言うモノは、その怒りを恐れ、敬い、鎮めるモノであったという。  『触らぬ神にたたりなし』という言葉があるだろ?  つまり、日本人にとって『神』とは、人々を守ってくれるモノではなかったわけだ。
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