3.ゆずる、しっかりしろ! 俺に掴まれ!

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 そりゃさぁ〜、気まぐれで助けてくれることもあっただろうけど、基本的には、『神様』の怒りに触れないようにしてきたわけだ。  そうすると、『神』は善、『魔』は悪という考えはなかったのだろうと思う。  そもそも、『魔』ってモノはなく、『悪い神』『意地悪な神』って感覚だろう。  平安時代には、西洋で言う悪魔的存在、つまり『神』の逆位置の存在として、『鬼』というモノがいる。  だが、鬼も、それより昔は『神』だったようだ。『鬼』と書いて『カミ』、または『シキ』と読んだのだから。  つまり、人にとって恐れの対象であった『悪い神』『意地悪な神』は『鬼』となり、都合の良い『神』こそ『神様』になったと考えられる。そんでもって、『人間に使役されている神』を『式神』と呼ぶのだ。  ――ちなみに、一神教で言うと、神は唯一の存在で、絶対であるわけだから、『式神』なんぞ、神とは絶対に認められない。もちろん日本人の感覚からしても、人間の下にいる『神』を崇めることはできない。  よって、俺的には『式神』は、神ではないって結論になるってわけだ。  はぁ〜、長かったぁ。まぁ、サラッと聞き流してくれ。  で、数の場合、呪文を唱えると、蒼いオーラみたいなモノが数の全身を包み込んで、それが次第に大蛇の形になっていくんだそうだ。俺には全く見えないけどさ。  その大蛇つーのが、数の『式神』なんだ。たしか、名前は、雲居。  数はその式神を使って、浮遊霊を追い出すつもりらしい。
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