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最後の力を使い果たすとばかりに、その名を叫んだ。
「数!」
すると、けたたましい音を立てて扉が開き、数久が駆け込んできた。
「ゆずる! 直ちゃん!」
数久はすぐさま印を結んで式神を呼ぶ。蒼いオーラが数久から放出され、それは大蛇を形取った。
初めて目にした数久の式神は、話で聞いたよりもよほど綺麗だと、直久は思った。
霊たちの気配が消えると、直久は脱力して、抱き寄せていたゆずるの肩に額をもたれさせた。
「だぁぁぁぁぁぁぁーっ。疲れたぞ、俺は!」
「ごくろうさま」
「もっと早く来いよな」
直久の文句に、微笑みながら数久はスタンドの電気を付けた。ゆずるの無事を確認する。
直久の腕の中で気を失っていたが、どうやら無事のようだ。直久も数久もホッとして顔を見合わせた。
だが、すぐにその両足を見て青ざめる。
足首から脹ら脛にかけて、いくつもの手跡が赤紫色になって、ハッキリと残っていたのだ。
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