3.ゆずる、しっかりしろ! 俺に掴まれ!

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 最後の力を使い果たすとばかりに、その名を叫んだ。 「数!」  すると、けたたましい音を立てて扉が開き、数久が駆け込んできた。 「ゆずる! 直ちゃん!」  数久はすぐさま印を結んで式神を呼ぶ。蒼いオーラが数久から放出され、それは大蛇を形取った。  初めて目にした数久の式神は、話で聞いたよりもよほど綺麗だと、直久は思った。  霊たちの気配が消えると、直久は脱力して、抱き寄せていたゆずるの肩に額をもたれさせた。 「だぁぁぁぁぁぁぁーっ。疲れたぞ、俺は!」 「ごくろうさま」 「もっと早く来いよな」  直久の文句に、微笑みながら数久はスタンドの電気を付けた。ゆずるの無事を確認する。  直久の腕の中で気を失っていたが、どうやら無事のようだ。直久も数久もホッとして顔を見合わせた。  だが、すぐにその両足を見て青ざめる。  足首から脹ら脛にかけて、いくつもの手跡が赤紫色になって、ハッキリと残っていたのだ。
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