4.はあ? そりゃあ、うそだろう

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 そうすると、霊たちはまた新たな器を求めなければならないのだが、その点、ゆずるの体は、いわゆる超高級品で、そう言う得体が知れないモノを入れるには持ってこいって品物なのだという。  普段から得体のしれない力を収めているだけあって、得体の知れないモノが入り込んでも、まったくOK。  ダメージ0、ってカンジなんだそうだ。霊たちが狙うのも分かる。 「それにしても……」  直久は昨晩の出来事を鮮明に思い出そうとした。 「女の手だったな」 「え?」 「ゆずるの足引っ張った奴さ。女の子の手してた。あと、俺の背後にいた女。超長いストレートの黒髪で、すっげぇ怖い感じがした。俺の肩に髪の毛垂らしやがったんだぜ」  そう言うと、直久は今更ながら、その髪の毛を振り払う仕草をした。 「さっき気が付いたんだけどね、ゆずるの部屋、開かずの扉の部屋の真上だったんだよね」 「ああ、あのミステリアスの……」 「実はね。三カ所怪しいところがあるって言ったでしょ? その一つが、その開かずの扉の部屋なんだよ」 「それを早く言えよ!」 「ごめーん」 「ちなみに、残り一つはどこだって?」 「舜さんの部屋」  舜さんは、紫緒さんや妃緒ちゃんのお兄さんだ。だが、未だにその姿を俺たちに見せてくれない。  怪しい。確かに、怪しい。 「と・こ・ろ・でっさぁー」 「ん? 何?」  直久にしては珍しく、何か言い難そうにしている。 「どうしたの?」 「ちょっと聞きたいんだけど、俺らって何?」 「え?」  突然、何? と聞かれても、困るのは数久の方だ。 数久は直久の心の中を探るように、直久をじっと見つめた。
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