4.はあ? そりゃあ、うそだろう

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「もしかして、うちのこと聞きたいの? どうして、うちの家系の人は妙な力を持っているのか……とか?」  直久は言葉なく頷いた。 「やっと聞く気になった?」 「だってさあ。見ちゃったんだぜ、俺。霊なんて存在しないなんて主張していた訳じゃないけどさぁ。本当言うと、半信半疑だったって言うか。数たちの力だって実はトリックかなんかじゃないかって、心のどこかで思っていてさー。実際、何度も目のあたりにしてきたはずなんだけど、霧がかかってたみたいに、ちゃんと見てなかったんだと思う。だから、冗談みたく思ってた。――だけど、昨夜のことで、ああ、これ、マジなんだって」 「霊も、僕たちの力もちゃんと認識したら、どうしてこんな力を持っているのだろう?って疑問に思ったんだね。いいよ、教えてあげる。本当は、お祖父様か、お母さんに聞いた方が確かなんだけど、今知りたいでしょ?」  再び素直に頷いた直久を見て、数久は何やら嬉しそうに微笑んだ。 「でも、どこから話せばいいのかなぁ? 直ちゃん、陰陽師って知ってる? 安倍晴明とか聞いたことない?」 「ない」 「じゃあ、そこからだね」  雪道を話しながら歩いているために、数久の息は上がっている。  ――何もこんなところで聞かなくてもよかったなぁ。    そうは思うが、すでに話す気満々である数久に、やっぱイイだなんて言えない。  直久は、雪に足を取られ、よろけた数久の腕を支え、話を促した。 「陰陽師というのは、平安時代に活躍した、いわば占い師みたいな人たちのことで、安倍晴明は、その陰陽師の中で最も力が強いと言われた人なんだ」 「へー」
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