4.はあ? そりゃあ、うそだろう

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「うん、一気に言い過ぎちゃったかも。話も飛び飛びになっちゃったし。ゴメンネ。話し下手で。――要するに、僕たちの人間離れした力は、その雌狼と泰成が交じったことが直接の原因なんだ。でも、孫、そのまた孫って、代を重ねていくと妖狼の血も薄くなっていくわけでしょ。力を失うことを畏れた僕らの祖先は、薄くなる度に妖怪と交じったらしい。身近なところで言うと、お祖母様のお父様がイタチの妖怪だったとか……」 「はあ? そりゃあ、うそだろう」 「でも、曾お祖母様は未婚でお祖母様を生んでいらっしゃるよ。うちのようなお堅い御家で、未婚の母って普通じゃないと思わない? しかも、その娘が当主に嫁したりなんて、普通じゃあ考えられないでしょ」 「そうかも……」  なぁんて、納得して見せたが、やっぱり頭の消化不良はひどくなる一方だった。   【改ページ】  ▲▽    しばらく歩くと、鳥居が見えてきた。オーナーはそこで足を止めた。  鳥居の手前に古い柵があり、それは山をぐるりと取り囲むように、ずっと続いている。  柵には何枚も御札が貼ってある。ゆずるがそれらを見やり、言った。 「これは封印符ですね。なるほど、神を崇めるというよりも、ここに閉じ込めているというわけですか」  オーナーに振り向くと、彼はゆずるに大きく頷いた。 「生け贄は、ここまで村人に付き添われてやってきます。そして、ここから先は一人で山を登っていったそうです。つまり、ここから先は生け贄になる少女しか入ってはならないとされ、私がご案内できるのもここまでです」 「十分ですよ」
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