1.またずいぶんと現実、いや、現代離れした話だなぁ

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 二人の前に回り込んで、その進みを止める。 「いったい何の根拠で言ってんだよ? 下手したらマジ迷子になるんだぜ。しかも雪道を!」 「……」 「遭難なんてヤダよ、俺。明日の新聞に、双子の兄弟とそのいとこ、雪の中、遭難!……なぁんて見出しが載ったら、どうしてくれるんだよっ!」 「はっ、何言ってんだ。どけよ。パシリの分際で俺の前に立ち塞がるな!」  ゆずるは直久の肩を押しやろうとしたが、直久はびくともしない。ゆずるはため息をついた。 「あっちの方で嫌な感じがする。それだけだ」  再びゆずるが直久の肩を押しやった。今度はすんなりと道をあけてやる。 「嫌な感じ?」  直久は不安げな目を数久に向けた。すると、数久はふんわりと笑い返してきた。  実は、この弟といとこは、常人はずれの力を持っていたりする。それは、普通の人が見えないようなモノを見たり、聞いたり、触れたりする力だ。  それを一般的には霊感とか言ったりするらしいが、よくテレビとかで、ここいらに何年前に亡くなったじいさんかいますぅ〜だの、そんな貴方のために今から除霊をしますぅ〜だのって、そう言ったレベルではない。 あ〜あ、つまり、何と言ったらいいんだ?  SF映画のバケモノ退治のレベルに近いというか。  ……まっ、とにかく、常識が通じないってことで。  で、二人は、人外対策をメインとしたちょっとした商売みたいな事をしている。  人外って言うのはつまり、妖怪とか、元人間だったやつ――要するに、幽霊だな。  対策って言うのは、主に退治するってこと。
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