5.数ぅ〜。早く助けてくれよぉ〜

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「3階は全て客室になっていますが。ほとんど……というより、全く使用しておりません。妻が時々掃除をするくらいで、普段は上がることもないですよ。ないものだと思っているくらいです。それに、舜の部屋は1階にあります」  双子は顔を見合わせた。妃緒が何らかの理由で偽りを言ったことは明らかだった。 「じゃあさー、足は?」 「足?」 「生まれつきの奇病で歩けないと聞きました」 「奇病? 妃緒がそんなことを言ったのですか?」  今度はオーナーと奥さんが顔を見合わせる番だ。 「そのようなことはありません。一人で山に登るくらいですから」  きっぱり言い切ったオーナーの言葉に、なるほどと直久は思う。  吹雪の中、車椅子で山登りは無理だ。いや、吹雪じゃなくても無理っぽい。じゃあ、なんで妃緒は奇病だなんて言ったのだろう?  そして、なぜ、あの部屋に舜がいるだなんて言ったのだろう?  あの部屋に何があるというんだ?  オーナーは少し考えて、再び口を開いた。 「そういえば、舜の亡骸は損傷がひどかったのです。首の骨が折れ、肋骨も数本折れ、内臓に突き刺さっていました。腕はあり得ない方向に曲がり、特に足はひどく、両足が膝より少し上で千切れていました。千切れた足の骨は、粉々に……。おそらく、足を滑らせ、上の方から転がり落ちたのだと思います」  淡々と語るオーナーに対し、奥さんは堪らず、口元を押さえてその場からそっと離れた。  台所からすすり泣く声が静かに響いてきた。 「――さらにひどい話に、舜の亡骸は消えてしまったのです」 「消えた?」 「少し目を離した隙に」
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