5.数ぅ〜。早く助けてくれよぉ〜

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 一方、ゆずるはさらに悪い。まるで見えていないのだ。本能的に自分にとって良くないものが近づいてくるとは分かるようだが、どうすることもできず、震えている。  最後の頼みだと舜を振り返る。すると彼は不敵に笑った。まるで、直久がどう動くのか試しているように。   少女の霊が近づいて来る。まっすぐゆずるに向かって。   直久は何か考える前にゆずると霊の間に自らの身体を滑らせた。   ズズズズズ……。  体内に異物が入り込む嫌な感じがあった。  ゆずるの悲鳴に似た驚きの声が耳に響く。直久の体が傾きゆずるの腕の中に倒れた。  今にも泣きそうなゆずるの顔を目にした最後のものとにして、直久は意識を手放した。  死ぬかもしれない。  闇に落ちていく感覚の中、漠然とそう思った。
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