1.またずいぶんと現実、いや、現代離れした話だなぁ

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 ――んで、今回もその商売の仕事で、こんな雪国まで来ている。 何でも、とあるペンションのオーナーからの依頼らしい。残念ながら、一般人の俺としては詳しい事情はまだ聞いてないんだよなぁ〜。  そう、俺、大伴(おおとも)直(なお)久(ひさ)、14歳は、何の力も持ってない一般的中学生である。  おっかしいんだよっ。  だってよ、俺と数は一卵性の双子なんだぜ。 ……ま、バケモノじみた力なんて、俺はいらねぇけどよ。  けど、やっぱさ〜。今みたいに、数とゆずるだけの間で分かっちゃってまぁす、って態度をとられると、ムカツクんだよな。俺だけ仲間外れって感じで。 ゆずるには雑用呼ばれされるし。  実際、力のない俺はこの仕事について行くために、何でもやるからという約束をさせられている。  だぁってよ。仕事といえども、こりゃ、旅行だぜ。しかも、そのペンションがスキー場に激近!  こりゃ、もう、行くっきゃないっしょ! 「どうしたの? 直ちゃん。さっきからおとなしいけど」  数久に声をかけられて、直久は我に返った。いつの間にか、二人は歩き出していて、その後を無意識のうちについて歩いていた。 数久が少し首を傾げて直久を覗き込んでくる。  ――もっとも大切なことを言い忘れていたが、俺の激ラブ数ぅの顔の造りは大変すばらしくよろしい。  そして、その一卵性双生児の俺はマジかっこいい! 「うんにゃ、ちょっと考え事してただけ」  と答えると、数久はやんわりと微笑む。  これこれ、この微笑みがくせ者なんだよ。この微笑みは、さすがの俺も涙ものだ。数にやんわり微笑まれ
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