6.いま何年? 何年何月何曜日? ついでに何日?

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「絵が完成したらよ。明日じゃないかしら?」 「明日!」  直久は拳を口元に押し当てる。  ツバキって、やっぱし、あの、最後に生け贄にされるはずだった少女のことだよなぁ。  そのツバキが生け贄にされる儀式が明日あるってことは……。 「なあ、いま何年? 何年何月何曜日? ついでに何日? ああああああああああああああ〜っ! もしかしたら、俺、タイムスリップってやつ? タイムスリップかよ! おい! しちまったのかよ! マジでぇ〜?」  突然叫ぶわ、頭を抱えて飛び回るわ、びどく取り乱した直久にアヤメは唖然とする。 「どうすりゃあ、帰れるんだ? なんかの映画だと雷に当たると車がウィ〜ンって動いて帰れるんだけどなぁ。そいや〜、なんかのドラマで同じ衝撃を受けたら帰れたって話があったな。同じ衝撃、同じ、って言ってもな〜。霊と衝突した場合はどうすりゃいいんだぁ? この場合同じ霊じゃなきゃいけないとか? すると、探さないといけないつーことだよな。あーっ、でも、ここではまだ生きてるんだっけ? しかも、ツバキなんだか、アヤメなんだか分からねぇーっ」 「あなた、さっきから何言ってるの?」  その、アヤメの声で我に返ると、直久はきりりとしてアヤメに振り返った。 「アヤメさん、何かお困りではありませんか?」 「はぁ?」 「俺がここに来ちゃったのって、ここに原因があるからだと思うんだよね」  たぶん、あの霊がここに連れてきたんだ。ここに、この時間に何かしらの憂いがあるから。  それを解決してやれば、俺は戻れるし、霊も浄土に行けるはず。
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