1.またずいぶんと現実、いや、現代離れした話だなぁ

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「生け贄にされた少女たちの幽霊が!」 「マジ?」 「そのオーナーの話だとね。そのせいで、お客が全然来なくなっちゃったんだってさ」 「ま、普通そうなるな。で、困っちゃって依頼して来たってわけだ」 「そんなとこ」  生け贄ねぇ〜。またずいぶんと現実、いや、現代離れした話だなぁ。  待て待て、ということは、数やゆずるの言う嫌な感じってやつは、生け贄にされた少女たちの霊?  ――マジっすか! 「なぁ」  やっぱし、俺、帰らせていただきますぅ。  そう言いかけた時、ゆずるの野郎が指差して、着いたとかほざくもんだから、言うタイミングを逃してしまった。――って、マジかよ着いたって、おいっ。まだ心の準備ができてないってば。  そこには霊感なんて大層なものがなくても何かいると思わせるような、そんな陰気で、巨大な建物が立ちはだかっていた。
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