8.だから絶対、助け出す!

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 ツバキは、直久の手に鍵を押しつけた。それを受け取って、直久は、はっとする。  ツバキの手の甲に火傷の傷があったのだ。数久の護符と同じ形の火傷の傷が!  アヤメの手の甲にあった者よりも、ずっとひどい傷だった。  どういうことだ?  訳分からずツバキの顔を見ると、もはや死人のように血の気がない。  直久は黙って頷くと、鍵を強く握り締め、その場から駆けだした。  直久が遠くなっていくのを感じながら、ゆっくりとツバキは目を閉じた。  確かに、私とアヤメは別の人格の人間。  だけど、他人とは持ち得ない繋がりを持っている。自分と相方との区別をあやふやにしてしまうような何かを。  そして、それが、相方を、もう一人の自分と呼ばせていた。  ツバキは手の甲の傷のことを思う。  だから、自分だけが幸せなのではいけない。  もう一人の自分も幸せでなければ、本当に自分が幸せであるとは言えないのだ。    アヤメも自由にしてあげて!  アヤメを解き放って!  アヤメを幸せにして欲しい。    アヤメは私。  私の光。  私ではない私。  私とはまるで違う少女。  アヤメはアヤメ。    どうか、彼女を見つけて。  お願いだから、どうか、彼女だけを見つめて欲しい。
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