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16 大空の旅と♡…
「まぁ!
なんて素敵なんでしょう!
王都があんなに小さくなっていますわ!」
私は巨大な竜(種類は良く分からない)にゼルゼディス様と乗って、空の旅を楽しんでいた。
「良かったね、メゾド。」
『ふん、気安く俺様の背中に乗りおって…』
メゾドは言葉を喋った。
えぇぇぇぇぇ!?
最近の竜って言葉を喋りますの!?
でも、メゾドって言うのね…
「あのぅ、よろしくお願いします。
メゾドさん。」
私はメゾドさんの背中を恐る恐る撫でてそう言った。
『メゾドはその魔導士が付けた愛称だ。
俺様はメゾドリック。』
メゾドリックさんは言う。
「そ、そうでしたのね!
メゾドリックさん、よろしくお願いしますわ…!」
「エシャロット、メゾドはツンデレですからね。
ツンツンしてても気にしないでね。」
ゼルゼディス様が伸びをしながら言う。
そ、そうか、ツンデレか…
『誰がツンデレだ!
振り落とすぞ!
ゼルゼディスめ!』
「おや、ご褒美のりんごはいらないんですかね?」
『…まぁ、許してやろうではないか。
俺様の広い心で。』
メゾドリックさんは言う。
「ねっ、言ったでしょ?」
ゼルゼディス様は私の耳元に囁いた。
その仕草に突然ドキドキしてしまう。
変ね、上空で酸素が薄いから動悸がしたのかしら…?
まぁ、メゾドリックさんなら1時間で着くらしいし大丈夫だろう。
「ねぇ、奥さん?」
「え、私の事ですの…?」
そうに決まってるではないか!と自分にツッコむ。
「私たち新婚旅行にも行ってないですし、夫婦らしい事って出来てないですよね?」
ニコニコとゼルゼディス様が私に接近する。
「え、えぇ、まぁ…???」
「たまには奥様の役をやってくれませんか?」
「えーと、お掃除を頑張る?とか?」
「そういう事ではありません!(呆」
ゼルゼディス様が頭を抱える。
「え、ではどういう…」
その時私はゼルゼディス様に右腕を引き寄せられ、そして彼は片腕で私を抱きしめると、口付けた。
結婚式よりも長いバージョンのようだ。
「それと…
好きですよ、あなたの事が。
ずっと前から、ね。」
ゼルゼディス様がもう一度キスしようとしたその時…
『人の背中でイチャつくんじゃねー!』
というメゾドリックさんのヤジによって中断された。
「人の恋路を邪魔する奴は…って聞いた事ありませんか?メゾド?」
『ふん!
俺様が馬に蹴られたくらいで死ぬものか!』
メゾドリックさんは言い返す。
「仕方ありません。
今夜の楽しみに取って置きますか…」
不穏な事を言うゼルゼディス様。
私は真っ赤になって顔を手で覆ってしまう。
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