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1 婚約破棄からの始まり
私の名前はエシャロット=スーベルシア。
名門侯爵家スーベルシア家のご令嬢だが、前世の記憶では地球でファミレスとう物の店長をやっていたらしい。
霧がかかったようにぼんやりとではあるが、私は前世の記憶を持っていた。
まぁ、前世では恐らく過労死した私は今世では絶対に幸せになろう、とそう思っていた。
第1王子シャンク様との婚約も決まり、私はウキウキとしながら、ドレスに着替えて髪を結い上げてもらった。
今日は婚約発表の日である。
舞踏会場に着くと、シャンク様はまだお見えでない。
私は1人シャンパンを飲んで、シャンク様が現れるのを待っていた。
すると、シャンク様が現れ私の隣に立った。
「今日みなさまにお集まりいただいたのは、婚約破棄の発表をする為です。」
シャンク様はおっしゃる。
やだわ、シャンク様ったら、言い間違えてるじゃない。
しかし、シャンク様は続けた。
「私の未来の妃は、エシャロットの妹のアリア=スーベルシアとします。」
は…?
アリア?
私のクソ生意気な妹の、あのアリア?
「アリアこちらに。」
シャンク様が言うと、アリアが奥から現れ、シャンク様の腕に手を絡ませた。
アリアご自慢のEカップの胸を押し付けられ、シャンク様は鼻の下を伸ばしている。
お、お、お前、おっぱい星人かー!?
「エシャロット、お前の非道は聞いている。
アリアに酷い言葉を浴びせ、嘘を平気でつき、手を上げた事もあったとか。
国外追放を…」
「待ってください。
国外追放はあまりにも酷でございます。
あんな姉でも私の姉です。
ゼルゼディス様と結婚させてはいかがでしょうか?」
妹のアリアは丸っこい瞳を上目遣いで言う。
ゼ、ゼ、ゼルゼディス様…!?
確か…
王宮魔導士のお一人だが、魔力が弱く、ずっと王宮魔導士の下っ端をしてるとか…
領地も貧しく、日々の生活がやっとと聞いたことがある。
「あの…!
私がいつアリア、あなたを傷つけて…」
「まぁ、恐ろしい…!
そんなにしらばっくれるなんて…!
聞きました、皆様?
あれが姉の正体なのです…!」
アリアの泣き真似にみんなは同調し始めた。
シャンク様はアリアに(胸に)鼻の下伸ばしっぱなしだし…
ダメだわ、これは。
そんな言葉が頭に浮かんだ。
「分かりました。
ゼルゼディス様との結婚をお受け致します。」
私は言った。
「そうか。
ならば国外追放まではしないでおく。
もう二度とアリアに近づくなよ?」
えぇ、言われなくてもこんな場所にはもう2度と来ませんわ!
ゼルゼディス様は困惑しながら、私の元にやってきた。
「あなたのような侯爵令嬢が、私のような爵位も持たない者に…」
「良いのです。
さぁ、参りましょう。
ここは空気が悪いですわ。」
そして、私とゼルゼディス様は馬車で辺境の屋敷に向かったのだった。
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