56 クライマックス

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56 クライマックス

sideディオクレイヤ そこに立って居たのは… ゼルゼディスだった… なんてザマだ。 闇に飲み込まれ、もう立ち上がる力すら無い。 ゼルゼディスが闇鬼剣を手に少しずつ俺の方に近づいてくる。 「殺せ…」 俺は短くそう言った。 「…最期に何か言う事は?」 「マリアーヌだけは助けてやってくれないか… 頼む…」 「分かりました…」 ゼルゼディスが闇鬼剣を振り上げたその時、その声は燃え盛る山の頂に響いた。 「待ってください! ゼルゼディス様!」 闇王竜メゾドリックに乗ったエシャロットだった。 「エシャロット… しかし、ディオクレイヤを殺さなければ… きっとまた…」 ゼルゼディスが言う。 その通りだと思う。 「マリアーヌさんの居場所が分かったんです! 今ならまだ間に合います!」 エシャロットは言った。 『コウモリが報告した所によれば、スターシャの北だ。 一気に飛ばすぞ。 乗りやがれ!』 メゾドリックが言う。 「仕方ありませんね。 マリアーヌ奪還作戦と行きますか。」 そうして、死にぞこなった俺はメゾドリックの背に乗ってスターシャの北に向かった。 しかし… 「ダメだ… 俺がこれ以上近づく事は出来ん… 奴らは俺の魔力を知っている。 近づけば、マリアーヌは殺されるだろう…」 俺は言った。 ゼルゼディスも同様に近づけないはずだ。 そう思って居た。 しかし… 「魔力を消して、剣技だけで侵入すれば良いんでしょう? 私に任せて下さい。」 「しかし、お前… 俺たちの膨大な魔力を消すなど…」 俺は言う。 「ふふ… 私はね、5年間宮廷魔導士の下っ端として働いていたんですよ? 魔力の操作はお手のものです。」 ゼルゼディスが言った。 俺の視界は一気に開いた。 確かに… ゼルゼディスは宮廷魔導士の下っ端だった… それこそが、魔力を消す事のできる証明なのだ。 ♦︎ 「マリアーヌ…!」 「ディオクレイヤ様!」 解放されたマリアーヌを抱きしめる俺。 「呪いの解除もしてあります。 さぁ、黒幕を倒しに大暴れしますか。」 ゼルゼディスが言い、右手を上げた。 俺は不敵に笑い、ハイタッチする。 メゾドリックにマリアーヌとエシャロットを安全な場所に連れて行かせ、俺とゼルゼディスは宮廷を破壊していた。 俺の炎の竜がアルガスを焼き殺し、ゼルゼディスの闇のカラスがスターシャ王を蝕んだ。 一夜にして、スターシャの王宮を壊滅状態にし、アリアという黒幕にゼルゼディスがトドメをさした。 こうして、スターシャ新王には公爵であった男がなり、宮廷魔導士も新たに集める事になった。 こうして、俺たちには平和な日々が戻ったのだった。 Happy End…♡
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