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「燃やしたのは、パパに最後に会うためだったから!だから、だから!パパ!さようなら!ママとあっくんはまゆが守るね!パパの分まで、まゆが、まゆが……ああああああ」
おかしいな。
あれだけ泣いたのに、また私は泣いちゃった。
大きな声上げて泣いちゃった。
しー、しないとご近所さんに迷惑なのに。
でも、ママは怒らない。
一緒に泣いて私をぎゅっと抱きしめてる。あっくんが私とママに挟まれて苦しくないかなって思ったけど、いつの間にか寝ちゃったみたい。
私はママにぎゅうって抱き着いて、目一杯泣いた。
たくさん泣いて、叫んで。
私はいつの間にか寝ていたらしい。
目が覚めたら、隣にママがいた。
ぎゅって私を抱きしめるママの腕は重くて、ちょっと苦しかった。
でも、あったかくてママの匂いがして、私はママの腕にぎゅうってした。
そしたら、ママが目を覚ました。
「ママ、おはよう」
「おはよう、まゆ」
「ママ、あっくんは?」
「あっくんは、ベビーベッドで寝てるよ。ほら、そこ」
ママが指した方を見ると、ベビーベッドですやすやと眠るあっくんがいた。あともう少しで足と頭の先が柵の端っこにつきそうなぐらい大きくなったあっくん。
「ママ」
「ん?なーに?」
「まゆ、パパの分まであっくんの面倒を見るいいお姉ちゃんになるね」
もうパパに会えないなら。
ママやあっくんが寂しくて泣きすぎちゃわないように。
お姉ちゃんの私が頑張るんだ。
パパがいないのは寂しいけど、でも、私にはあっくんもママもいるもん。
「……っ……ありがとう」
ほら、ママはパパがいないから泣き虫になったみたい。
世話のかかるママね。
仕方がないから、私はニッコリ笑って「だいじょーぶだいじょーぶ」てパパが私にやってくれたみたいにママの頭をなでなでしてあげた。
fin
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