最後の写真

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「さとし君それ本当!?」  私は思わずさとし君の肩を掴んでいた。  今までどんよりとしていた身体がぱーっとお日様のようにピカピカ光っているような気分だった。  朝7時半から18時半までの最長お預かり時間を誇る私と張り合っても同点になるぐらいお預かりに来ている友達のさとし君は『俺のばあちゃん何でも知ってるんだぜ』と言って私が飽きておままごとを始めるぐらいずーっと自慢話をしてくる。毎日違う話だけど、虫の捕まえ方だとか、川の上で石をたくさん跳ねさせる方法だとか川とか山の遊びばっかりで、おままごとやお絵描きとかお家の中でゆっくり遊ぶのが大好きな私にとっては興味のないことばかりだった。だからいつも私は「ふーん」「そっか」と遊びながら相槌を打つだけなんだけれど、宝物の話をしあった今日は違った。だから私は、さとし君にさっきの話が本当だったのかもう一度尋ねているんだ。 「本当だよ。俺のばあちゃんは嘘つかないもん」  ムッとした顔で答えるさとし君。  答えはそれで十分だった。 「そうなんだ……そうなんだ……!」 「まゆちゃーん、お迎えよー」 「はーい!」
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