1人が本棚に入れています
本棚に追加
嬉しくなった私は先生の声に元気よく返事をしてお帰りの用意をする。
早速このお話をお母さんにしなきゃって、急いでお母さんの所に言ったら「あのね」を言い終わる前に「あっくんのお迎えも行かなきゃだから急ぐわよ!」て自転車の後ろに乗せられてあっという間にシートベルトをカチャンってされちゃって、何も言えなかった。それでも、走っている時に頑張って喋ったら聞いてもらえるかもって「お母さんあのね!」と叫んでみたけど、お母さんは前を向いて首の後ろに汗をいっぱいかきながら自転車をしゃかしゃか漕ぐばっかりで、ちっとも聞いてくれなかった。横を私と同じような子が後ろに座っている自転車とか、車とかがいっぱい通っていてお母さんに聞こえなかっただけかもしれないけど、早く話したくてたまらなかった私のお日様のような気持ちはあっという間に沈んじゃって、あっくんのいる保育園に着いた時には私の心はお空と同じぐらいどんよりと暗くなっちゃってた。
「あつしくんママ、お疲れ様です。まゆちゃんもこんばんは」
「こんばんは……」
「すみませんいつも遅くなってしまって」
「いえいえ~」
あっくんの保育園の先生はいつもニコニコしていて優しそう。幼稚園の先生はおばちゃんみたいにベラベラ喋る人が多くてうるさいから羨ましい。私も保育園が良かったけど、あっくんも3歳になったら私と同じ幼稚園に入るってママが言ってたから、それまでの我慢だね。
「ママ、あのね」
あっくんが来るのを待ってる今の間がチャンスだと思って私はママにあの話をしようとした。
けど。
「あー!」
ヨチヨチ歩きのあっくんが大きな声を上げて来てしまった。
あっくんの歓ぶ声は少しうるさい。思わず私は両耳を塞いだけど、あっくんはヨチヨチ歩いてママのお膝をぺんぺんすると、私のお腹をペンペンしにきた。
「はい、タッチ」
最初のコメントを投稿しよう!