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私は早速見つけたものをとると、次は自分の部屋に行った。
そして、『まゆのたからばこ』て書いてある宝石箱を開けた。
そこにはおばあちゃんからもらったウサギさんの指輪や、おじいちゃんから貰ったお姫様に変身できるティアラが入ってる。そして、一緒に入れている写真が一枚。私は裏返って真っ白な紙になっちゃっているそれをとって、くるっと回して写真を確認した。家族みんなが映っている私の大事な宝物。
夏休みに入ってすぐ皆で行った旅行の写真。まゆの大好きなうさぎさんがいっぱいいる遊園地で、ママがあっくんを抱っこしていて、パパが私を抱っこしている。皆ニコニコ笑ってて、パパと私だけうさぎさんのお耳をつけている。つける時パパは『仕方ないなぁ』て笑って照れ臭そうにつけてくれたのが私はとっても嬉しかった。パパとお揃いなんて滅多にないから、この写真は私の宝物。
「なくなっちゃうのは嫌だけど、なくしたらまたくれるってパパが言ってたから大丈夫だよね」
私は写真の中のパパに話しかけた。パパが、いいよ、てニッコリ笑ってくれた気がした。うん、そうだよ、これはパパのためでもあるもんね。パパが私を見つけやすいようにやるんだもん。
私は必要なものを両腕にぎゅっと抱えると、すぐに玄関へ走った。もうおっきくなったから玄関のカギも平気で開けれる。すぐに、ガチャ、と開けるとさっきまで気にならなかったむあっとした空気に少し嫌な気持ちになった。涼しい部屋にいた後に外に出ると、空気がいっぱいくっついてきてちょっとやだ。でも、今からやることによって起こることを思うとワクワクが止まらない私は、早速玄関を出てすぐの地面に写真を置いた。
パパと、ママと、私と、あっくんが映っている写真。
「へへ」
眼鏡をかけてニコニコしているパパに向かって水鉄砲を向けて、カチっとボタンを鳴らす。
ボッ、と赤い光が出た。
けど、ぴゅうっと風が吹いて消えた。
もっかい、カチッ。
一瞬ついたけど、また消えた。
「うーん」
私は早くつけようと何度もカチカチする。
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