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俺の住む村には、ほかの村とは違い異能力者が住んでいる。その中でも、俺の家系、桐野江家は特別な異能力を持っている。桐野江家は、この世で極めて少ない者のみに与えられた異能力を持っている。嫁ぐ者も特別な異能力を持つ者のみで親の決めた特別な異能力者と結婚しなければならない。その結果、生まれるのも特別な異能力者のみだ。普通を味わうことはできない。普通の人のように好きな人と愛を育むことはできず、この家の名に恥じない立派な後継者を育てるということのために一生を捧げる。夫婦の愛も親からの愛情も存在しない。両親とも他人のような関係である。
俺たちは、警察などが対応できない異能力者が起こした事件の調査を手伝うことでその地位を得ていた。もちろん人それぞれ持つ能力は違う。俺に与えられた異能力は空間支配だ。定めた相手や自分のいる空間を操れる。例えば、相手を宇宙空間に閉じ込めたり、空間を切り取り指定した場所と入れ替えたりすることができる。欠点としては、一度に多くのエネルギーを必要とすることや直接相手にダメージを与えられないため、一人で相手と戦うことはできないのでもしもの時に他の人を呼んだり、その場を離れてたりするために、大体誰かの補助で任務に参加するか、洞察力が人より優れている俺は事件の捜査を手伝っている。
桐野江家の長男、桐野江 凪として生まれた俺は跡継ぎを残さなくてはならない。だから俺は他の異能力者の娘で親が決めた人である、指定した人物の追跡ができるという特別な異能力を持っている莉緒と結婚することになった。これは、お互いがどんなに嫌がっても逃れることはできない。
そいつは親から聞いた話によると、気が弱そうなふわふわした雰囲気の人らしい。正直、俺の苦手そうなタイプだが仕方がない。俺が、今までの先代のように今後一切相手に干渉しないようにすればきっと何とかなるだろうと軽い気持ちでいた。だが、こいつは本物の夫婦のように愛を育み、子供にも愛を注いで普通の家族になるのを目指しているらしく、毎日無駄なルールが増えていった。
そんな生活にうんざりしながら日々過ごしていたある日のことだった。警察の情報管理をする部署に勤めている友達の西村から、この村に最近不可解な事件が起きているから一緒に調査してほしいと依頼があった。事件の内容は、ほぼ毎日村の20代から30代の男女が行方不明になっているという内容だった。
今わかっていることは、異能力を持っていない人が対象だということのみらしい。それから、村の防犯カメラを見たり、人が少ない路地裏で待ち伏せをしたりしていた。そんな中、ある日を境に莉緒は毎日夜になると異能力を使って俺がいるところまで迎えに来るようになった。莉緒がなぜ毎日迎えに来るのか理由がわからず訪ねたこともあるが、まったく答えてはくれなかった。しかし、そんなことを気にする暇もないくらい捜査に明け暮れる毎日だった。操作を始めてから1週間が経ち、ある条件がわかった。それは、雨の日には事件が起きないということだ。それでも、犯人に直結することはわからず事件は難航していった。このことを、村で一番強い異能力を持つ村長さんに相談した。
すると、異能力者を毎日2人ずつくらい村で絶対脱獄できないと言われている牢獄に閉じ込めたら犯人がわかるのではないかと提案しているくれた。犯人探しのために、2人ずつ閉じ込めるということが犯人にばれてしまうと意味がなくなってしまうので、事件を捜査している数人以外には内緒で行ってみた。これで、事件解決に繋がるのではないかと希望を抱いていた。
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