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散る桜
ある日,桜が散り終えそうだと気がついた。
学校の高い窓から身を乗り出して下を覗くと,散った花弁がぎっちりと地面を覆っていた。
全ての授業が終わって,沢山の人に囲まれる私。
その全てに笑顔を返して,私は追い立てられるように外へ出る。
上からは見えなかった茶色を確認して,私はふつふつと寂しさに襲われた。
あなたって,一瞬ね。
思わず,ぽつりと呟く。
もう少ししたら,きっと誰も目に留めないただの木になってしまう。
未だ,諦め悪く私に降ってくるさくら。
命が枯れていくようで,私の目には可哀想に映る。
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