教科書達の憂鬱(1)

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教科書達の憂鬱(1)

僕は、悩んでいた。僕のご主人様の事で。 僕のご主人は、来年高校の受験を控えているのに、僕に見向きも しない。僕の顔に落書きはしても、お腹を開いて見てくれない。 そんなに、僕の事が嫌いなのかい!ご主人様。 僕がご主人様に貰われて行ったのは、そう新学期が始まった二ヶ月前だった。。 僕だけじゃ無い、他の教科書も貰った筈なのにご主人様は、 教科書に見向きもしない。「この様な事では高校に行けないよ、」 と、言っても僕の心の声は届きはしない。 僕は、多くの人が嫌ってる数学の教科書だ。 皆から難しいといつも言われる。 「僕に言わないで欲しいよ。 作った人に言ってよ。もっと簡単にしてと伝えてよ。」 と、叫んでいるのが聞こえたのか、 英語の教科書が僕に同情する様に言ってきた。 「君も難しいと言われているね。僕もだよ。こんなの読んでも
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