1人が本棚に入れています
本棚に追加
(爆発音、崩れる建物…戦争の風景)
A …おい、無茶すんな!
B 許せねぇ…人生を、生活を…踏みにじりやがって…くそっ!
A …あっ、危ない。伏せろ。
(爆発音)
B …わりぃ。おかげで助かったわ。
A バカか?命がいくつあっても足りないだろ。
B ははっ、ありがとな…ポール。
(ここまで回想)
(銃撃の激しい地域に潜伏している兵士のAとB)
A はぁ…いつまでこんなことを続けるんだろうな。
B ははっ…全く同感だ。
こんなくだらないことを始めたヤツの気が知れねぇ。
A 一緒に入隊した同期も、もう、みんな空の上だしな。
まだ図太く生きてるのは、俺とおまえだけ。
B あぁ、そうだな。
でも、これが最後の戦いだ。これが終われば…
A (Bの言葉にかぶせて)
俺、この戦いが終わったら、結婚するんだ。
B は?
A 田舎に婚約者を待たせているんだよ。
まぁ、口は悪いし、美人でもねぇけど、
料理の腕だけは抜群で…ん?なんだ、その顔は?
…羨ましいのか?
B …おまえ、バカか?
死亡フラグって言葉知ってるか?
A は?死亡?なんだそれ。
縁起でもないこと言うんじゃねーよ。
B …まさかとは思うが、その婚約者は、
おまえの想像上の存在…ってことはないよな?
A なんだよそれ。
自分が独り身でさみしいからって、言いがかりつけてくんなよ。
(カッとなって大きな声を出す)
B わ、やめろ!
(SE 爆音)
A おぉぉお、あっぶねー!びっくりしたー!
おい、大丈夫か?
B あぁ…無事だ。まったく…おまえのせいだぞ。
A ははは。生きてたんだから、良かったじゃねーか。
B 次やったら承知しないからな。
A …それよりさ…(何か異変に気付き)あれ…?
B ん?
A 今、何か…あー…いや、なんでもないわ。すまん。
B はぁ!?だめだめだめだめ。何を見た?
ちゃんとはっきりしとかないと!
それ、絶対なんでもなくない!死亡フラグだから!
A な、なんだよ。そんなに慌てて。
B 言って?ちゃんと、言葉にして!?
A え。
B じゃないと、その正体不明なヤツにうっかりあっさり
やられちゃうフラグなんだってば、それ。
A すまん…ちょっと、おならをスかしただけだよ…。
B え?あ…くっさ!なにこれ、くっさ!!
A おなら。
B うっせぇよ。もう、おまえ、余計なこと喋るな。
A でもさ。(もじもじ)
B なんだよ、戦闘に集中しろよ。
A やっぱり、こう長く戦争をやってるとさ、
なにが現実だったのか、わからなくなるよな。
B …はぁ?
A だって、そうだろ?
毎日生き延びれるか、ここで死ぬのか…そればっかり。
こんな世界が俺の日常になっちまった。
B …そのうち、またあくびが出るような日常が戻ってくるさ。
A そう…だな…そうだといいな…(くねくね)
B おい、おまえ、なに、くねくね変な動きをしてるんだ?
A 俺は大丈夫だ…先に行け。すぐに追いかける。
B え?どこに?
てか、そのセリフも死亡フラグなんだってば!
A だから何でもないって言ってるだろ!
さっきからしつけぇんだよ、その何とかフラグってやつ!
B おまえのことが心配なんだよ!
さっきから、節操なしにホイホイ立たせやがって。
ほら正直に言えっ!どうした?どこか苦しいのかっ?
(心配して大きな声を出す)
A うるせぇよ!心配してくれなんて、いつ俺が頼んだ?
立つのは(ドカーン)だけで十分だ!
B なんだと!?俺がどんな気持ちで…(言ってると思ってんだ)
A …あ。なんか光った(スナイパーのスコープの反射の光に気づき)
B あ?その手には乗らねぇよ
…って、スナイパーじゃねぇか、危ない、伏せろ!!
(銃声、そしてゆっくり倒れていくA)
B ポーーーーール!!
A ぐわあぁぁ!
B おいっ、生きてるか!?返事をしろ!
A (苦しそうな呼吸で呻き苦しむ)
B こんなところで死ぬんじゃないぞ!
死亡フラグを立てたからって、おまえは死なない…
俺が、いくらでもそんなフラグへし折ってやるからな!
A ぐっ…うぅぅ
B 胸をやられたのか?まて、今傷口を…(服を脱がす)。
うっ、これは…!!
A や…めろ…み…るなぁっ…!
B おまえ、戦場にブラジャー着けてきてんだよ!
A …べべべべべ別に?
B どう見ても、おかしいだろ!
いや、違う。そうじゃなくて。落ち着け、俺。
おまえ今、撃たれただろ、傷口は?
A あぁ、それは…このブラのワイヤーが、
敵の弾を止めてくれてたらしい。
B せ…生存フラグ…?
A え?
B だけど、そういう弾を止める生存フラグって、
普通、恋人の写真が入ったロケットとか、お守りじゃね?
A このブラだって、婚約者のブラだ。
お守りがわりに、って持たせてくれたんだ。
B そこは素直にお守りを持たせろや!
んで、おまえも、律儀に着用してんじゃねーよ!
A いや、実際、このブラのおかげで命が助かったわけだし。
B そうかもしれねーけど…まぁ、生きてて良かったよ。
A ふはははは。
B しかし、おまえ、爆撃の前になんか様子がおかしかっただろ。
あれ、なんのフラグだったんだ?
A あー、先の爆撃の時にブラのホックが外れちゃってさ、
気持ち悪くって、こう…(くねくね)
あ、丁度いいから背中のホック留めてくれ。ほい。
B え…あぁ…んーと…ん?
なぁ…このブラ、婚約者のモノだったわりには、
ずいぶんお前の身体にフィットしてないか?
A ぎくっ
B …まさかとは思うが、やっぱりその婚約者は、
おまえの想像上の存在…ってことは…
A なんだよ。またそれかよ。
自分が独り身でさみしいからって、言いがかりつけてくんな。
B ということは…
婚約者と結婚する死亡フラグは成立してなかったが、
同時に婚約者からのお守り生存フラグも無くなって…
A ん?
B ってことは、受けた攻撃は、
それぞれのフラグ縛りも無くなり、ただのダメージに…
A ぐふああぁぁぁぁあ!(あとからダメージ)
B おい、しっかりしろ…これが最後の戦いなんだ。
これが終われば、帰れるんだぞ!
俺たちだけは、生きて帰るって約束したじゃねーかよ!!
俺を置いて死ぬなー!
最初のコメントを投稿しよう!