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夏生が、将来、有朋が困った時に今度は自分が支えるのだと宣言した時、隼人は反対した。真っ当な道に戻れた夏生が、有朋と再び関わることで、良からぬ世界へ引き入れられぬかと心配したのだ。
しかし、夏生は家族の命を奪った男への復讐を拒んだ。
真面目なだけの足手まとい。と言われた事に対し、真っ当な道を歩いていくことが、自分を捨てた有朋への仕返しだと言い切った。
信頼していいと感じた。
もしかしたら、夏生が有朋を変えるのかもしれない。
「相馬さん、こんな風に笑うこともあったのですね」
「どれどれ。
へぇ、なんか意外だな。あいつのことだから、気取りまくった鼻持ちならない態度だったかと思ったんだが」
どうにも、勇一郎は有朋と気が合わないようである。
「長瀬君の前だからこそ、見せた表情なのじゃないのかな」
山上が、教師らしい洞察力を示す。
「なるほどな。
お前、この頃から美少年に振り回されっぱなしなんだな」
大笑いされて腹が立たぬ訳では無いが、事実だけに文句の言いようがない。
美少年との自覚があるだろうが、反応したなら負けだ。とばかりに圭は無表情で無視を決め込む。
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