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「ありがとうございます。大事にします」
夏生は、持ってきた英國語の辞書に、写真を挟んだ。その優しい動きに、有朋への気持ちが溢れている。
誰かが誰かの運命の人。
人との関わりの中で喜び、楽しみ、後悔しながらも忘れる事ができぬ、大切な人を心に忍ばせながら生きていく。
笑いに溢れるこの場所に、有朋が加わり、勇一郎と言い合いをしながらも笑い合う。
そんな日が来ることを願う。
「長瀬さん、もう一度相馬さんと一緒に笑い合える日がくると良いですね」
夏生が静かに微笑みながら、隼人を見上げる。
「そうだね……」
「中里さんとは厭味の応酬が行われるでしょうけどね」
「それはそれで、本人同士は楽しんでるだろうから、問題はあるまいよ。
中里と麻上君だって同じようなもんだろう」
「厭味の応酬ではありません。一方的に私がいじめられているのです」
しれっと圭は否定する。
勇一郎は皮肉屋ではあるが、根に持つ人間ではない。言い合いの末に友情が芽生えることもあるだろう。
皆が同じことを考えている。そう思うと希望が生まれた。
いつかこの場所で、有朋も含めた友人達が、大笑いできることを願って……。
完

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