贄(にえ)の桜

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 翌日、僕は桐野さんに、僕が目にしたことを話した。桜の花びらを見せながら。  彼女は目を見張り、ゆっくり僕の顔に視線を向けて囁くように言った。 「やっぱり、贄は続いてたのね…」 「それ、いったい何なんですか」  桐野さんは観念したように深くため息をつくと、辺りをはばかるようにして僕を役場の外に連れ出し、話してくれた。ただし、決して誰にもこのことを話してはいけないと、念押しされて。
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